この記事では婚約指輪にルビーリングを選ぶときの失敗しない5つのルールを宝石鑑定士が解説します。この記事を読むことで自信を持ってルビーリングを購入することができます。記事の後半には実際の接客の様子をレポートしています。
婚約指輪にルビーリングを選ぶときの失敗しない5つのルール
ルビーには「情熱的な愛」という石言葉があることから、婚約指輪にルビーリングを選ぶ人も多いようです。
ルビーの婚約指輪の相場は50万円ほどで高額ですし、婚約指輪は一生残るものですから、しっかりと選びたいところです。
しかし、実際にルビーの婚約指輪を選ぶときにどんな点をチェックして、どんなことに注意したらいいのかわからない人が多いのも事実です。
そこでプロの宝石鑑定士としてルビーの婚約指輪を選ぶときに実際にチェックしているポイントをまとめてみました。
題して「失敗しない5つのルール」として解説します。
ルール①産地と色の特徴を理解して自分好みのものを選ぶ
ルビーは色の美しさがすべてといっても過言ではありません。
日本に輸入されているルビーの産地としては以下の3か国のものが大半を占めます。
・ミャンマー
・スリランカ
これら3か国が世界的にも主な産地となっており、実はそれぞれに色の特徴があります。
ミャンマー産のルビー
①赤の色が濃く、透明感が高いです。ルビーの中でも最高峰と言われる「ピジョンブラッド(鳩の血)」は輝きが強く色が赤いものを指します.産出量は非常に少なく、希少価値が高いです。
②同じミャンマー産でも色が淡く深みにかけると評価が下がります。
タイ産のルビー
⑤ミャンマー産にくらべてやや黒っぽい赤のルビーが多いです。深みがあり黒すぎないものはタイ産ルビーの中で最高峰と言えます。
⓺黒味が強くなってくると評価が下がります。
スリランカ産のルビー
③色が淡くピンク味があるのが特徴です。スリランカ産はピンクと赤のバランスがいいものが評価がたかくなります。
④ピンク味が強く全体的に薄い色になると評価も低くなります。
ルール②石の価値と価格を理解して自分の予算に合ったものを選ぶ
ルビーの価値と価格は比例しています。ルビーの場合、品質が全く同じものを比べる場面はないので、どのランクのものがだいたいどのくらいの価格かの感覚を持って、最終的には目の前にあるもの価値と値段のバランスが予算にあっているか?を見ることになります。
プロは下記のようなチャートを頭に入れた上で、その時の相場によって取引をします。
ルビーの場合、色と透明感、内包物(石の中に入った結晶の有無)により価格が決まります。A,B,Cというランク分けをして取引をします。
ミャンマー産Aランクとタイ産Aランクの価格差
同ランクの場合でもミャンマー産は世界的な評価が高く高値で取引されます。資産として十分に考えられ、将来的に再販ができます。同じ大きさの場合、価格差は25%くらいあります。
もしも予算に余裕があれば、①のミャンマー産がいいですが、再販を考えない場合は好みで決めるといいです。タイ産の⑤も比べると見劣りしますが、単体だと十分に美しい石もあります。
実際に販売されていた価格は下記でした。
ミャンマー産Aランク→1.2ct 2,800,000円
タイ産Aランク→1.1ct 1,900,000円
同じタイ産のランク違いの場合
同じ産地のランク違いの場合はわかりやすく、価値がそのまま値段になります。⑤と⓺の値段差は15%くらいです。色は好みになるので、⓺でも好みの色であればお買い得です。
実際に販売されていた価格は下記でした。
タイ産Aランク→0.98ct 1,500,000円
タイ産Bランク→0.8ct 1,200,000円
スリランカ産のランク違いの場合
スリランカ産のルビーはミャンマー産、タイ産に比べると安値で取引されます。ピンクに近い赤が好きな方にはおススメです。資産性を考えない場合は品質はさほど重要視しなくてもいいです。
スリランカ産のランク違いの場合、値段差は10%くらいです。
実際に販売されていた価格は下記でした。
スリランカ産Aランク→0.6ct 480,000円
スリランカ産Bランク→0.7ct 380,000円
ルール③普段から試着をたくさんして相場観を養い一期一会を逃さないようにする
ルビーの色合い幅広いので、好みの色に出会うには自分の目を養い、価格とのバランス感覚を身に付けていくといいです。
プロもたくさんのルビーをみて相場感を養っています。2つと同じものがないので、迷っている間にいい出会いを伸ばしてしまいがちなのもルビーの特徴です。これだ!と思ったら購入できるように普段からたくさん試着をすることをおススメします。
ルール④婚約指輪に適したデザインを選ぶ
婚約指輪に適したデザインを紹介します。両家の両親や親せきに会う機会が増えることを考えるとシンプルで上品なデザインがいいでしょう。
シンプルとは言えシンプルすぎても年齢を重ねていくことを考えると物足りなくなるので、ダイヤが品よくあしらわれているものがいいです。またルビー自体に個性がある(写真のようにハート型)ものも婚約指輪にふさわしいでしょう。
逆に、婚約指輪としては控えた方がいいいものは華美すぎるものです。下記の写真のようにゴージャスなデザインや派手なものは控えた方がいいでしょう。
ルール⑤手持ちのジュエリーに合うものを選ぶ
ルビーリングは1つでもとてもインパクトのあるアイテムです。婚約指輪として持つなら単体で着けながらも他のジュエリーと合うものを選ぶとコーディネートの幅が広がります。
特に相性がいいコーディネート例
ルビーリングと相性のいいコーディネートを紹介します。
①ダイヤモンド
ダイヤは無色とルビーの赤色は相性がいいです。どちらの色を邪魔することなく、両方の良さが引き立ちます。
②パール
パールの控えめなアイテムにルビーが加わるとメリハリのついたコーディネートになります。
③地金のアイテム
石の入っていない地金だけのアイテムにルビーを合わせると大人しい印象からアクティブになります。
表にまとめます。
相性のいいジュエリー | 合わせ方 |
ダイヤモンド | リングで重ね付け、ネックレスとルビー指輪、イヤリングとの相性も良い |
パール | パールのネックレスと合わせることでパールのイメージが変わる |
地金だけのもの | ルビーの色を添えることで全体的に華やかな印象になる |
【実録】お客様のルビーの婚約指輪選びの購入サポートをしてきました!
お客様のルビー婚約選びの購入サポートをしてきました。2024年3月14日に実施しました。
予算は100万円。人とは違うものが好き、以前ジュエリーショップで見たルビーのきれいさが忘れられず婚約指輪はルビーにする!と5年ほど前から決めていたそうです。
お客様はMさん32歳。出版社にお勤めです。身長は160cmで体型は中肉中背の方です。ファッション誌を担当されているのでとてもおしゃれな方で、会うたびに流行りの洋服を着こなしています。からだを動かすことが大好きでボクシングジムに通われる一面も。
お相手は学生時代からのお付き合いしてい方でITの会社にお勤めです。料理が得意でMさんの家事負担を減らすようにがんばっているとのこと。
今回の婚約指輪選びはMさんの好きなものをということでMさんお一人でいらっしゃいました。同行したのは表参道のジュエリーサロンです。お母様とも懇意にさせていただいている宝石鑑定士の私が失敗しないようにベストなルビーの婚約指輪を見立てます。
揃えたルビーリングの全体像を見る
まずは見ていただくルビーリングの全体像をみてもらいました。今回はタイプの違う4本を用意しました。
品質は高品質です。リングのデザイン性よりも石の価値の高さを重視し、お手持ちのジュエリーにも合わせやすいものを揃えました。
商品名 | 特徴 | 値段 |
WG四角カットリング | ミャンマー産・最高品質・品がいい | 120万円 |
WG楕円形カットリング | タイ産・高品質・赤とピンクのバランスがいい | 110万円 |
WG小ぶり楕円リング | スリランカ産・高品質・大人っぽいピンク | 85万円 |
WGピンク味強いリング | スリランカ産・高品質・ピンク味が強い | 95万円 |
ルビーリングを1点ずつ試着
婚約指輪用のルビーリングを1点ずつ試着していきます。
四角にカットしたルビーのリング(ミャンマー産)
ルビーの形としては珍しい四角にカットしたリングを試着します。石のカットに合わせて周りにダイヤがあしらってあります。
ルビーのリングをするのは初めてなので、ワクワクします。こちらは大人っぽいデザインですね!
気軽につけてみましょう。石の色は赤に近いピンクですね。ルビーを見るときは石そのものの色を確認したあとに、手元が明るくなるか?をみてくださいね。
着けるとふわっと手元が明るくなりますね!ダイヤがたくさんあって派手かな?と思ったのですが、品よくまとまっている感じがします。
ご自身の肌の色を輝かせてくれるルビーを選ぶのも一つのポイントなんですよ。今まで以上に女性らしい手に変身しますね。
楕円形のカットのルビーのリング(タイ産)
次に楕円形にカットされたルビーのリングを試着します。
この石の色、かなり好きです!赤とピンクがバランスいい感じがします。
目が慣れてきましたね!こちらルビーはミャンマー産で色のバランスがいいのが特徴なんです。手元も色が白くよりきれいにみえますね。
小ぶりの楕円カットのルビーのリング(スリランカ産)
2点目の楕円形よりも小ぶりなルビーリングを試着しました。
こちらはお花みたいなデザインですね!ルビーの色は薄い感じがします。
周りのダイヤモンドが豪華なので、そちらに目が行きますよね。ルビー自体はピンク味がかった赤ですね。手元の明るさはいかがですか?
比べてみるとなのですが、1つ前のリングの方が手が綺麗に見えた気がします。
ルビーのリングを作る時はルビーの個性に合わせてデザインをすることが多いです。真ん中にくるルビーが綺麗であればあるほどシンプルなデザインになります。
ピンク味の強いルビーのリング(スリランカ産)
最後はピンク味の強いルビーリングを試着しました。
私、このピンクの感じがかなり好きです!
目が喜ぶ色ですよね。こちらはスリランカ産です。ピンク味が強い石が多い産地です。手にのせてみるといかがですか?
あら?少しピンク味が薄くなったように感じます。
いい感覚ですね!石の色自体が薄いと手にのせたとき光を通して薄くかんじることがあるのです。石自体は綺麗ですが、Mさんの場合、もう少しはっきりと色がのるものがいいですね!
4点を試着したところで、最初の四角いカットのルビーリングと楕円形のルビーにしぼられました。判断基準はお客様の反応と、ルビーの価値を考慮しました。
一番気にいったものをじっくり検討する
候補が2点あるので1点に決めていきました。
もう一度候補の2点を試着してみましょう。一通りみたあとだとまた印象が違っていたりします。
こうやって比べてみると楕円の方が私の手に合っている気がします。
じっくり見比べて試着したので、石のグレードが分かるようになりましたね。楕円の方は石のランクでいうとAクラスです。手元に置いた時にMさんの手が一番きれいに見えました。
ぱっと見はピンクが強いのがいいかな?と思ったのですが、この楕円の深みがだんだんわかってきました。
今回は婚約指輪としての役割もありますが、デザイン的にいかがですか?
職場にはあまり着けていけないですが、会食やここぞ!というときにつけたいので、華やかな方がよくて。そういう意味ではこのデザインはばっちりだと思います。
お手持ちのものとも合いそうですね!
はい!これにします!早く彼にも見せたいです。
ルビーの婚約指輪の決定にプロとして考えたこと
今回揃えたルビーのグレードはミャンマー産のAランク(楕円のもの)とタイ産のAランク(四角のカット)とスリランカ産のBランク2点でした。いずれもグレードの高いものですが、婚約指輪という記念の意味もあってミャンマー産のAランクが一番おススメでした。
Mさんはおしゃれな方なので、将来的にリフォームをして年代にあったルビーリングを着けていかれるといいと思ったので、最高ランクを購入してよかったと思います。
どのリングにするか?が決まったら、TPOや予算についても考慮します。今回の場合、日常遣いというよりもハレの日に使うことが多いと予想できたので、予算いっぱいの購入となりました。
最後に
婚約指輪にルビーリングを選ぶときは石の特徴と価格とのバランスを知っておくといいです。
試着を重ねて自分の目を養い、いいタイミングで良質なルビーリングを購入することができます。
婚約指輪なので、TPOに合わせた使い方ができるデザインをえらび、手持ちの元の合わせて使えるようにしておくといろいろなファッション合わせて楽しむことができます。
サファイヤの選び方はこちらを参考にしてください。↓
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