この記事では30代の女性が初めてバロックパールのネックレスを購入する際に、プロがサポートする体験を書いています。この記事を読むことでバロックパールのネックレスを安心して購入できます。
バロックパールとは?
不定形の真珠のことをバロックパールといいます。養殖の工程はまん丸の真珠全く同じです。違いは「巻き」と言われるたんぱく質の層が均等であるか、ないかの違いです。
真珠業界では、丸に近いものに高値が付く傾向にありますが、品質には差はありません。むしろ形の楽しさや色合いの豊富さから普段使いにぴったりと言えます。
バロックパールの種類
パールができる貝のすべてからバロックパールができます。主な種類は下記です。
あこや貝
白蝶貝
黒蝶貝
イケ蝶貝
それぞれの貝の特徴を表にまとめます。
貝の名前 | 主な産地 | バロックパールの特徴 | 価格 |
あこや貝(海で養殖) | 日本(宇和島、長崎、伊勢) | ・ナチュラルカラーと呼ばれるグレーのものが多い ・形は多種多様。光沢が強く虹のような光を放つ | ★★★★☆ |
白蝶貝(海で養殖) | オーストラリア | ・大粒(20mmものもある)でホワイト、ゴールドなどがある ・横にしわがはいったものなどユニークな形もある | ★★★★★ |
黒蝶貝(海で養殖) | タヒチ | ・大粒(20mmのものもある)でグリーン、黒系が多い ・かなりごつごつした形のものもある | ★★★★★ |
イケ蝶貝 | 中国・ベトナム | ・量産できて安い ・色はオレンジ、紫、ピンクなど。色を付けていることも多い。 | ★☆☆☆☆ |
バロックパールの形
バロックパールには様々な形があります。とくに名称のないものもあります。どの形がいい悪いはなく、自然の織り成す産物であり、個性と捉えます。
ネックレス1本の中にもいろいろな形がはいります。特定の形だけを集めるのはとても難しいです。仮に特定の形だけを集めたとしたら、かえって面白みのないネックレスになってしまうことがあります。
バロックパールの色
バロックパールの色は、貝によってある程度決まってきます。貝の内側の色素が色味に影響するからです。
あこや貝から採れるバロックパールの色
あこや貝からはグレー、黄色、白のバロックが採れます。特にグレーの色味が幅広いのが特徴です。薄いもの、濃いもの、緑っぽいグレーなど1本1本のネックレスに個性があります。
白蝶貝から採れるバロックパールの色
白蝶貝から採れるバロックパールにはゴールド、白、薄いグレーがあります。特にゴールドは人気が高く、希少でもあります。
黒蝶貝
黒蝶貝から採れるバロックパールに緑っぽい黒、グレーに近い黒など黒を基調とした色のバリエーションがあります。中でもピーコックと呼ばれる光沢のある緑っぽい黒は人気があります。
イケチョウ貝
イケチョウ貝から採れるバロックパールの色は、白、オレンジ、紫、ピンクなどがあります。
バロックパールのテリ
バロックパールはテリによって美しさが変わってきます。テリとは表面の輝きのことで例えるなら窓ガラスがピカピカに磨かれたような様子です。
テリは一般の人が見ても「光っている」「艶っとしている」「透明感がある」などわかりやすいです。
バロックパールのサイズ
バロックパールのサイズは貝によってある程度決まってきます。
日本の海のみで養殖されるあこや貝から採れるのはおもに7mm~9mmです。まれに10mmのものが採れることがあります。
海外の海で養殖される白蝶貝や黒蝶貝は貝そのものが大きいので7mmから20mmを超えるものもあります。
湖で養殖される淡水真珠は2mmくらいから12mmくらいまで幅広く採れます。
貝の種類 | 大きさの目安 |
あこや貝(日本の海) | 7mから9mm |
白蝶貝・黒蝶貝(海外の海) | 7mから20mmを超える |
イケチョウ貝(海外の湖) | 2mから12mmくらい |
普段使いに最適なバロックパールとは?プロはここを見る!
普段使い用のバロックパールのネックレスを購入するとき、プロはテリ>色>大きさ>形の優先順位で見ます。
白くて丸い真珠を購入する場合は、「テリ」「巻き」「キズ」「形」「大きさ」の評価基準がありますが、バロックパールに関しては適用しません。
それよりもテリの強さや色のきれいなものを選ぶといいです。
テリの強いもの
色味はいろいろ
大きさについては、あまり大きすぎるとバランスが悪くなるので、必ず全身鏡で見て確認しましょう。特に海外で採れる白蝶貝や黒蝶貝は存在感がでてしまうので、注意が必要です。
大きさの違いはこのような感じです。
形については評価基準はないので、好きな形を選ぶといいです。ネックレス全体の印象から決めるといいです。
形の違いはこのような感じです。
実際のお客様が普段使いバロックパールを購入するまでのレポート
実際のお客様が普段使いにあこや貝バロックパールネックレスを購入するまでの様子をレポートします。
2024年5月20日に表参道のジュエリーサロンにて実施しました。
お客様は旅行代理店にお勤めの30代のSさん。ジュエリーを揃えはじめたところで、ダイヤのネックレスを1点お持ちです。
Sさんは身長162cmでスリムです。5歳の男の子のママであり、旦那様と3人ぐらし。SNS運用の代行をしています。海外旅行が好きでご家族でもよく出かけられます。コンサバなファッションが多く、これからはジュエリーで大人っぽさを表現していきたいとのことです。
今回は結婚式のお呼ばれや、多くの人が集まる会食にも使えるボリュームのあるネックレスが欲しいというご相談です。
自然光の元で全体像を見る
バロック真珠は自然光の元で見るときが一番色味や干渉色がわかります。手に取って日にかざしたり、いろいろな角度から全体をみていただきます。
これだけ揃うと圧巻ですね!キレイです。
お客様のお好みに合わせてあらかじめ私の方で厳選しました。たくさんありすぎても迷ってしまいますので。
バロックパールネックレスは2つとして同じものがありません。かといってありたっけのネックレスを見ていただいても迷ってしまいます。
そこで、あらかじめ個性の違うもので大きさが違うバロックパールのネックレスを4本そ揃えました。
長さはお客様の身長から80センチのものに統一しました。普段使いがメインになるのでアレンジしやすく、日常動作に邪魔にならないようにしました。
このときお客様の表情を見ていると、直感的に気になっているものに目を留めることがあるので、プロとしては見逃さないようにします。
サイズの小さいものから試着する
試着の順番は大きさの小さいものから始めます。理由は、多いものから始めると小さいものが物足りなく感じてしまい、正しい評価ができなくなるからです。
7.5mmから8.0mmのバロックパールネックレスを試着
7.5mmから8.0mmのバロックパールネックレスを試着します。今回揃えたものの中では一番形がユニークです。
こちらは形がゴツゴツしていて個性的ですね!
このサイズは形のユニークさを一番楽しめます。
冠婚葬祭にも使えますか?
昔ほど慣例が厳しくないので、自由に着けていただいていいと思います。参列する気持ちが大事ですので、結婚式では悪目立ちせず、お悔やみの場では華美にならなければ大丈夫です。
パールはきちんとした場に使うことも多く、普段使い以外でも使えるかを考えます。バロックパールは形がまん丸ではありませんが、場を乱すことなくきちんとした印象を与えることができます。
Sさんはお子様の行事で母として参加することも多いです。白くて丸いパールのネックレスを着ける方は多いですが、バロックパールを着ける方はまだまだ少なく、「他の人と被りたくない」というSさんの希望に沿ったアイテムです。
8.0mmから8.5mmのバロックパールネックレスを試着
8.0mmから8.5mmのバロックパールネックレスを試着します。このネックレスは淡いグレーの色味が特徴的です。
これは色が淡いグレーで私の肌に合いますね!
バロックパールネックレスの醍醐味は色です。光にあてていろんな角度からみると青やピンクの色が見えます。
本当ですね!これだけ色があるとどんな洋服にも合いそうです。
バロックパールネックレスは光によって青、ピンク、紫などの色が見えます。バロックパールの最大の魅力は多彩な色彩にあります。
Sさんは肌のきれいな方なので、濃い色も淡い色もお似合いです。最終的には好みになるので、見比べながら試着を続けます。
8.5mmから9.0mmのネックレスを試着
8.5mmから9.0mmのネックレスを試着します。8.5mm以上になるとかなり大きく感じます。パールだけが目立つ印象にならないか?を見ていきます。
ワンサイズ大きくなっただけで、存在感がすごいですね!パールばかり目立つ感じになっていませんか?
悪い意味ではなく、確かにバロックパールのネックレスが大きすぎますね。Sさんの雰囲気だと先ほどの7.5mmか8.0mmが良さそうですね。
大きさの順番につけていくと、Sさん自らどれが自分に合うのか?の目が養われていきます。実際に9mmのバロックパールネックレスはSさんの雰囲気には大きすぎる感じがしました。
あえて大きいサイズをつけることでよりよいものがわかるようになるので、見た目で違うかも?と思っても着けてみることが大事です。
9.0mm以上のネックレスを試着
あこや貝で9.0mm以上のネックレスは大変希少です。購入目的よりも今後の参考目的でSさんにみていただきました。
とても大きく感じますね!
そうなんです。これをおススメするというよりも、大変貴重なものなのでぜひ見ておいていただきたいなと思って用意しました。
今後、これが必要になるときってありますか?
いろいろなジュエリーを楽しんで、60代くらいになったらお似合いになりそうですね。
バロックパールネックレスは年齢関係なくずっと活躍してくれるアイテムの1つです。対象外でも商品が揃っているときにいろいろ見ておくことで、目が肥えて間違いのない購入ができるようになります。
1本に絞ってじっくり試着する
一通りみたあとはどれが良かったか絞り込んでいきます。Sさんは7.5mmからか8.0mmと8.0mmから8.5mmがお似合いでした。
7.5mと8.0mとどちらがいいですかね?迷います。
どちらもお似合いでしたからね。2本同時につけて比べてみましょう。
大きさは7.5mmがつけやすそうです。
そうですね。私もそう思います。色とか形はどうですか?
形はどちらでもいい感じです。色はちょっと濃い目がいいかも。
そうですね。Sさんには濃い目の7.5mmがよさそうです。全身を鏡に映したりもう一度手に取って見てください。
じっくり見比べてみてやはり7.5mmにします。
Sさんは濃いめのグレーの7.5mmから8.0mmのバロックパールのネックレスを購入しました。
今回のバロックパールネックレス決定にプロとして考えたこと
今回のSさんのバロックパールネックレス選びでプロとして考えたことは以下の3点です。
- 普段から着けやすいか
- いろんな場面で使えるか
- メンテナンスが簡単か
仕事、育児、プライベートといろんな場面に出かけます。どの場面にいてもおしゃれでSさんらしい個性が引き立つようなバロックパールネックレスがいいと思いました。
上質なバロックパールネックレスは汗を気にすることなく、普段から着けやすいです。実際に専用のクロスでSさんにもお手入れしてもらいました。
Sさんは「簡単だからしまう前にできそうです。」と話していました。
お客様の感想
購入後にSさんはこのように話してくださいました。
「パールの中でもバロックパールに惹かれたのは、他の人と絶対に被らないと思ったからです。子供のイベントで出かけると周りのママたちは全員というほど白くて丸いパールのネックレスをつけています。私は人と違ったおしゃれをしたいのでグレーのバロックパールがいいなと思っていました。
見慣れていないので、一度にたくさんみると混乱しそうだったので、私の好みに合わせてセレクトされていて選びやすかったです。
光の加減で違った表情をみせてくれるバロックパールをたくさん着けたいです。」
最後に
普段使い用のバロックパールのネックレスを購入するとき、プロは色>大きさ>形>長さの優先順位で見ます。
試着するときはサイズの小さいものから試着するとよいでしょう。
初めてのパールを買うならこちらの記事も参考にください。
コメント